鯖江公民館大ホールでの真空管アンプの試聴会です。10年以
上も前、鯖江のハードオフには高級オーディオ装置がずらりと並
んでいた。素人目にもオーディオファンの層の厚さを感じさせるも
のだったのだが、今回鯖江で開催されたのは現在もオーディオフ
ァンが多いということでしょう。主催者側はこの試聴会に参加する
のは30人ぐらいと見ていたらしいが、実際は110人ぐらいの来
場者で驚いたらしい。女性の姿も多くてこの種の会には珍しい光
景ですね。若い人も少しは見えるのだがほとんどがシニア層で、
趣味の集まりだから構わないとはいえここにも高齢化の波は押し
寄せている。
第1部は「今さら聞けないサウンドセミナー」蓄音器からハイレゾ
まで。オーディオテクニカフクイ市橋氏の講演です。
氏は総務と品質保証、PRなどを兼ねているようで、技術的な内
容だったがオーディオファンにはよく分かっていることでしょう。市
橋氏は相当なマニアらしく、自作AB級アンプの音も聴かせてくれ
ました。
試聴用のスピーカーで左のタンノイはオーディオテクニカ試聴室
のを持ってきたらしい。右のはジェンセンとアルテックのホーン。
その他自作スピーカーBOXなど。
群馬から参加された原口氏製作の6CA7シングルアンプ。簡素
で如何にも標準回路らしいが私には素晴らしい音に感じた。音の
出だしからしてすっきりさわやかで課題曲である「あの素晴らしい
愛をもう一度」がストレスなく聴けたのはこの一台のみ。タンノイ
との相性が良いということでしょう。山賊の持つトライオードのシ
ングルアンプもタンノイならこんな音が出るのかしらね。3極接続
ではないのでこの音にはならないような気がするのだが。
右側の丸くて小さいスピーカーは磁器などの入れ物にスピーカー
を付けたもの。低域は薄いもののこれが思いの外良い音で驚きま
した。ジェンセンのスピーカーは昔ステレオサウンド誌で活躍した
評論家が使用していて、初めて音を出したとき「耳から血が出た」
と言わしめたほど難しいスピーカーだそうで興味がありました。今
回のスピーカーはジュークボックスに使用されるフルレンジのもの
らしいが、そのためアルテックのホーンを足している。音はアルテ
ックホーンが支配的であって中域以下を受け持つジェンセンの音
はよく分からなかった。高域は伸びなくてもジェンセンそのものの
音を聴いてみたかったね。試聴後市橋氏自作のアンプ内部を覗
いて驚いた。電源回路にOSコンと思われるものがこれでもかと
ばかり使われている。おそらく出力の変動に対応するため電源
回路のインピーダンスを下げる目的であろうと想像するが、さす
がにこれはメーカーでは絶対に出来ない回路だね。市橋氏にそ
の辺の所を聞いて見たかったが、取材を受けている最中で聞け
なかったのは残念でした。